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法律で定められた金利上限とは?自社ローンでも気を付けたい年利制限

自社ローンを利用する際に、金利が法律で定められた上限を超えていないか、不安に感じていませんか? この記事では、自社ローンにおける金利制限について、利息制限法と出資法を軸に分かりやすく解説します。 自社ローンとは何か、法律で定められた上限金利とは何か、そして上限を超えた場合の違法性や対処法まで、具体例を交えながら理解することができます。安心して自社ローンを利用するために、金利に関する正しい知識を身につけ、違法業者から身を守りましょう。この記事を読めば、自社ローンの金利に関する疑問が解消され、安全な取引を実現するための知識が得られます。

1. 自社ローンとは?

自社ローンとは、販売会社が自社の資金で顧客に直接融資を行う販売形態のことです。主に高額商品やサービスの購入時に利用されます。信販会社や銀行などの外部の金融機関を介さないため、審査基準が比較的緩やかであることが特徴です。そのため、信用情報に問題がある方や、他のローン審査に通らなかった方でも利用できる可能性があります。

例えば、中古車販売店が自社でローンを提供しているケースがよく見られます。 その他にも、エステサロンや学習塾、リフォーム会社など、様々な業種で自社ローンが利用されています。顧客にとっては手軽にローンを組める一方、販売会社にとっては、顧客獲得の手段として有効です。

1.1 自社ローンのメリット・デメリット

自社ローンには、メリットとデメリットの両方があります。利用を検討する際には、両方を理解した上で慎重に判断することが重要です。

メリットデメリット
審査が比較的緩やか金利が高めに設定されている場合がある
信販会社を通さないため、手続きが簡便返済期間が短く設定されている場合がある
他のローン審査に通らなかった方でも利用できる可能性がある違法な高金利を請求されるリスクがある

1.2 自社ローンとクレジット、銀行ローンの違い

自社ローンと、クレジットや銀行ローンとの違いを理解することも重要です。それぞれの特徴を比較することで、自分に合ったローンを選択することができます。

項目自社ローンクレジット銀行ローン
融資主体販売会社信販会社銀行
審査基準比較的緩やか中程度厳格
金利高め/低め様々中程度低め
手続き簡便やや簡便複雑

自社ローンは、販売会社が独自に設定した審査基準に基づいて融資を行うため、他のローンと比較して審査が緩やかな傾向があります。しかし、金利が高めに設定されている場合もあるため、注意が必要です。クレジットは信販会社が、銀行ローンは銀行が融資を行います。それぞれ審査基準や金利、手続きなどが異なるため、事前にしっかりと確認することが大切です。

2. 金利制限と法律の関係

お金を借りる際には、利息が発生します。この利息には、法律によって上限が定められています。主な法律として、利息制限法出資法の2つがあり、それぞれで定められた上限金利を守ることが貸主には義務付けられています。

2.1 利息制限法による上限金利

利息制限法は、一般の金銭貸借における利息の上限を定めた法律です。上限金利は、元本金額に応じて以下の3段階に設定されています。

元本金額上限金利(年利)
10万円未満20%
10万円以上100万円未満18%
100万円以上15%

利息制限法の上限金利を超える利息を受け取った場合、超過分は無効となります。つまり、超過分は返還請求することが可能です。

2.2 出資法の上限金利

出資法は、高利貸しから消費者を守ることを目的とした法律です。利息制限法の上限を超える金利で貸し付けを行うことは、出資法違反となる可能性があります。出資法で定められた上限金利は、年利20%です。

2.2.1 出資法違反の罰則

出資法に違反した場合、刑事罰として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくは両方が科せられます。また、法人であれば、1億円以下の罰金が科せられます。さらに、民事上でも、超過分の利息の返還請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

3. 自社ローンと金利制限

自社ローンは、販売会社が顧客に直接融資を行う販売形態です。例えば、自動車販売会社が自社の販売する自動車の購入資金を顧客に貸し付ける場合などがこれに該当します。通常のローンとは異なり、信販会社や銀行などの金融機関は介在しません。このため、審査が比較的緩やかで、信用情報に不安がある方でも利用しやすいというメリットがあります。しかし、金利制限については通常のローンと同様に法律の適用を受けます。自社ローンだからといって、法定金利を超える高金利を設定することは違法です。

3.1 自社ローンにおける年利制限の適用

自社ローンにおいても、利息制限法と出資法という二つの法律が金利の上限を定めています。どちらの法律が適用されるかは、貸付金額によって異なります。

法律貸付金額上限金利
利息制限法10万円未満年20%
利息制限法10万円以上100万円未満年18%
利息制限法100万円以上年15%
出資法全額年20%

利息制限法が定める上限金利を超える契約は無効となります。一方、出資法の上限金利を超える契約は違法となり、刑事罰の対象となります。自社ローンを利用する際には、適用される法律と上限金利をしっかりと確認することが重要です。利息制限法と出資法の両方に抵触する場合は、より低い利息制限法の上限金利が適用されます。

3.2 上限金利を超えた場合の違法性

自社ローンで設定された金利が上限金利を超えている場合、貸金業者は違法行為を行っていることになります。超過した利息分は支払う必要がなく、既に支払ってしまった場合は返還請求が可能です。また、出資法の上限金利を超えている場合は、貸金業者は刑事罰の対象となります。

3.2.1 違法業者の特徴と見分け方

違法な高金利を設定する業者は、以下のような特徴を持つ場合があります。

  • 広告や勧誘で「ブラックOK」「審査なし」など、容易に融資を受けられることを強調している
  • 契約内容を十分に説明せず、不明瞭な点が多い
  • 金利や手数料などの費用が明確に示されていない
  • 連絡先が不確実で、連絡が取りにくい

このような業者には注意が必要です。自社ローンを利用する際は、契約内容をしっかりと確認し、不審な点があれば契約を控えるようにしましょう。また、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスを利用して、業者が正規の登録業者であるかを確認することも重要です。

4. もし上限金利を超える金利を請求されたら

もし、自社ローンやその他のローンで法定の上限金利を超える金利を請求された場合は、落ち着いて以下の手順で対処しましょう。

4.1 まずは冷静に状況を把握する

請求された金利が本当に上限金利を超えているのかを確認しましょう。契約書や返済計画表などをよく確認し、利息制限法または出資法に基づく上限金利と比較してください。計算方法が複雑な場合は、金融庁のウェブサイトなどを参考にしたり、専門家に相談するのも有効です。

4.2 貸金業者との交渉

上限金利を超える金利を請求されていることが確実な場合は、貸金業者に連絡を取り、過払い金の返還を求めましょう。この際、会話の内容を記録しておくことが重要です。電話の場合は通話録音を行い、面談の場合はメモを取りましょう。内容証明郵便で通知を送ることで、より確実な証拠を残すことができます。

4.3 行政機関への相談

貸金業者との交渉がうまくいかない場合は、最寄りの消費生活センターや財務局などに相談しましょう。専門の相談員が対応し、解決に向けたアドバイスやあっせんを行ってくれます。都道府県弁護士会でも相談を受け付けている場合があります。

4.4 弁護士への相談

状況が複雑で自分での対応が難しい場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。弁護士は法的な観点からアドバイスや代理交渉を行い、必要に応じて訴訟手続きも行ってくれます。日本弁護士連合会や各地の弁護士会で弁護士を探すことができます。

4.5 法的手段

交渉や相談でも解決しない場合は、最終的に法的手段に訴えることも可能です。少額訴訟や支払督促などの手続きがあります。ただし、法的手段は時間と費用がかかる場合があるため、慎重に検討する必要があります。

4.6 違法な金利請求への対処法まとめ

ステップ内容ポイント
1状況把握契約書、返済計画表を確認し、上限金利と比較
2貸金業者との交渉過払い金の返還を要求。会話内容の記録、内容証明郵便の活用
3行政機関への相談消費生活センター、財務局などに相談
4弁護士への相談法的なアドバイス、代理交渉、訴訟手続きのサポート
5法的手段少額訴訟、支払督促など。時間と費用を考慮

上記の手順を参考に、落ち着いて対応することで、不当な金利請求から自身を守りましょう。 金利に関するトラブルは早期解決が重要です。一人で抱え込まず、専門機関や弁護士などのサポートを活用することが大切です。

5. まとめ

自社ローンは、販売業者自身がお金を貸し付けるシステムです。通常のローンと同様に、金利が発生しますが、利息制限法と出資法という法律によって上限金利が定められています。利息制限法の上限金利は、元本額によって異なり、10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%です。出資法の上限金利は年20%です。自社ローンにおいてもこれらの法律が適用され、上限金利を超える金利は無効となります。もし、上限金利を超える金利を請求された場合は、消費生活センターなどに相談しましょう。違法な金利での契約を避けるためにも、契約前に金利をよく確認し、法律で定められた範囲内であることを確認することが重要です。

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