メリット・デメリット

デメリットも知ろう!自社ローンを利用する際の4つのリスク

自社ローンは、信販会社を通さず販売店が直接ローンを提供する仕組みです。手軽に利用できるメリットがある一方、金利、所有権、支払い延滞など、様々なリスクも潜んでいます。この記事では、自社ローンを利用する前に知っておくべき4つのリスクを詳しく解説します。金利相場と比較して高額になる可能性や、所有権留保によるデメリット、延滞時の厳しい督促、そして情報不足による不安など、具体的なリスクと対処法を理解することで、安心して自社ローンを利用できるようになります。この記事を読み終えれば、自分に自社ローンが本当に適しているのか、判断するための材料が得られるでしょう。

1. 自社ローンとは?

自社ローンとは、販売会社が自社の資金で顧客に直接融資を行う販売形態のことです。つまり、信販会社や銀行などの外部の金融機関を介さずに、商品やサービスの購入資金を貸し付ける仕組みです。

一般的には、車のオートローンなどで利用されることが多いですが、家具や家電製品、エステティックサロン、教育サービスなど、様々な業種で提供されています。

通常のローンとは異なり、信販会社や銀行を通さないため、審査基準が比較的緩やかであることが特徴です。そのため、信用情報に不安がある方や、他のローン審査に通らなかった方でも利用できる可能性があります。ただし、後述するように、金利や所有権、延滞リスクなど、デメリットも存在するため、利用する際は慎重に検討する必要があります。

1.1 自社ローンのメリット・デメリット

メリットデメリット
審査が比較的緩やか金利が高い傾向がある
他のローン審査に通らなかった場合でも利用できる可能性がある所有権留保のリスクがある
信販会社を通さないため、販売店との直接的なやり取りになる支払い延滞時のリスクが高い
手続きが比較的スピーディーな場合もある情報が少ないため、不安を感じやすい

1.2 自社ローンが利用される主なケース

自社ローンは、以下のようなケースで利用されることが多いです。

  • 信用情報に傷があり、銀行や信販会社のローン審査に通らない場合
  • 過去に自己破産や債務整理の経験がある場合
  • 安定した収入がない、または収入が少ない場合
  • 勤続年数が短い場合

これらのケースに該当する方は、自社ローンを利用することで、希望の商品やサービスを購入できる可能性があります。しかし、自社ローンにはメリットだけでなくデメリットも存在するため、契約前にしっかりと内容を理解することが重要です。

2. 金利が高いリスク

自社ローン最大のデメリットと言えるのが、金利が高い点です。一般的な自動車ローンや銀行ローンと比較して、金利が数倍に設定されているケースも珍しくありません。この高金利は、自社ローンを提供する販売店側が、顧客の信用リスクを高く見積もっていること、そして、自社ローンの審査や管理にかかるコストを上乗せしていることに起因しています。

2.1 相場より高い金利設定に注意

自社ローンの金利は、一般的に10%を超えることも珍しくありません。通常の自動車ローンであれば、金利は数%程度で済む場合が多いことを考えると、その差は歴然です。金利が高いということは、それだけ返済総額が大きくなるということを意味します。購入時は毎月の支払額だけを見て安易に契約してしまいがちですが、最終的に支払う総額をしっかりと確認することが重要です。

例えば、100万円の車両を金利5%のローンで購入した場合と、金利15%の自社ローンで購入した場合の返済総額の違いを見てみましょう。(計算は元利均等返済方式、ボーナス払いなしとします。)

金利返済期間月々の返済額返済総額
5%3年(36回)約29,977円約1,079,152円
15%3年(36回)約33,447円約1,206,112円

このように、金利の違いによって返済総額に大きな差が生じることが分かります。自社ローンを利用する際は、金利をしっかりと確認し、返済総額をシミュレーションしてみるなどして、無理のない返済計画を立てることが重要です。

2.2 高額な返済総額になることも

前述の通り、高い金利設定により、最終的な返済総額が当初の車両価格を大幅に上回る可能性があります。一見すると手の届く価格に見えても、高金利の自社ローンを利用することで、結果的に大きな負担となることがあります。購入前にしっかりと返済シミュレーションを行い、総額を把握しておくことが重要です。また、他のローン商品と比較検討することで、より有利な条件で購入できる可能性も探りましょう。例えば、銀行や信用金庫のマイカーローン、または信販会社のオートローンなどを検討してみるのも良いでしょう。これらのローンは、自社ローンに比べて金利が低い場合が多いため、返済総額を抑えることができます。

3. 所有権に関するリスク

自社ローンを利用する際、所有権に関して注意すべきリスクが存在します。それは、所有権留保です。所有権留保とは、ローン完済まで商品の所有権が販売店に残ることを指します。一見、大きな問題ではないように思えますが、実際には様々なデメリットが潜んでいます。

3.1 所有権留保によるデメリット

所有権留保によって発生する主なデメリットは以下の通りです。

デメリット詳細
自由に売却・処分できないローン完済まで所有権が販売店にあるため、自分の自由に車を売却したり、処分したりすることができません。たとえ急な資金需要が発生した場合でも、売却によって資金を調達することが難しくなります。
改造が制限される場合がある所有権が販売店にあるため、車の改造に関して制限が設けられる場合があります。自分の車であっても、自由にカスタマイズできない可能性がある点は注意が必要です。
心理的な負担ローン完済まで車は完全に自分のものにならないため、心理的な負担を感じる人もいます。「自分の車」という所有感を得にくいというデメリットも存在します。

3.2 任意売却の難しさ

住宅ローンなどでよく耳にする「任意売却」ですが、自社ローンを利用している場合、任意売却が難しいケースがあります。任意売却とは、債務者の同意を得て、担保物件(ここでは車)を売却し、売却代金で債務を返済する手続きです。しかし、自社ローンでは所有権が販売店にあるため、販売店の同意なしに任意売却を行うことができません。また、自社ローンを提供している販売店は、任意売却に非協力的な場合も多いです。そのため、返済が困難になった場合でも、任意売却によって解決することが難しいというリスクがあります。

これらの所有権に関するリスクを理解した上で、自社ローンを利用するかどうかを慎重に検討することが重要です。

4. 支払い延滞のリスク

自社ローンは、販売店が顧客に直接融資を行う販売形態です。そのため、一般的なローンとは異なるリスクも存在します。中でも、支払い延滞は深刻な事態を招く可能性があります。延滞によるリスクを正しく理解し、計画的な返済を心がけることが重要です。

4.1 厳しい督促

自社ローンでは、販売店が直接督促を行うため、金融機関のローンよりも厳しい対応となる場合があります。電話や書面での督促はもちろん、自宅への訪問による督促が行われるケースも少なくありません。頻繁な督促は精神的な負担となるだけでなく、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。

4.2 一括返済を求められることも

自社ローンでは、一度の延滞で残債の一括返済を求められる場合があります。これは、一般的なローンと比較して非常に厳しい条件と言えるでしょう。一括返済に応じられない場合、商品の回収や法的措置に発展する可能性もあり、注意が必要です。

4.3 信用情報への影響

自社ローンの中には、信用情報機関に延滞情報が登録されるものもあります。信用情報に傷がつくと、将来、住宅ローンや自動車ローンなどの利用が難しくなる可能性があります。また、クレジットカードの発行や携帯電話の契約にも影響が出る可能性があります。延滞によって信用情報に傷がつくリスクも考慮しておく必要があります。

4.4 延滞金が発生するケースも

自社ローンでは、延滞した場合、延滞金が発生するケースがあります。延滞金の利率は契約内容によって異なりますが、高額な延滞金が発生する可能性もあるため、注意が必要です。延滞を防ぐためにも、返済計画をしっかりと立て、余裕を持った返済を心がけましょう。

延滞発生時の対応具体的な行動
すぐに販売店に連絡する延滞が発生したら、すぐに販売店に連絡し、事情を説明しましょう。誠意ある対応をすることで、柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。
返済計画を見直す延滞が続く場合は、家計を見直し、返済計画を立て直す必要があります。支出を減らす、収入を増やすなど、具体的な対策を講じましょう。
専門機関に相談する債務整理など、専門的な知識が必要な場合は、弁護士や司法書士などの専門機関に相談することを検討しましょう。

支払い延滞は、経済的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいため、延滞しないように返済計画を立て、無理のない範囲でローンを組むことが重要です。万が一、延滞が発生した場合でも、すぐに販売店に連絡し、誠実に対応することで、事態の悪化を防ぐことができる可能性があります。

5. その他の隠れたリスク

金利、所有権、支払い延滞以外にも、自社ローンにはいくつかの隠れたリスクが存在します。情報が少ないために見落としがちですが、契約前にしっかりと確認しておくことが重要です。これらのリスクを理解することで、より安全な車選びができます。

5.1 審査基準の不透明さ

自社ローンは、信販会社を通さないため、審査基準が不透明な場合があります。一般的に、信販会社の場合はスコアリングモデルなど客観的な基準で審査が行われますが、自社ローンでは販売店独自の基準で判断されることが多く、審査に通るかどうかが分かりにくいというデメリットがあります。どのような属性の人が審査に通るのか、明確な基準が公開されていない場合が多いので、事前にしっかりと確認することが重要です。

5.2 情報が少ないことによる不安

自社ローンは、信販会社ローンと比べて情報が少ないため、利用する際に不安を感じる方もいるでしょう。インターネット上でも体験談などはありますが、信販会社ローンほど情報が充実しているわけではありません。そのため、疑問点や不安な点を解消しにくいというデメリットがあります。契約前に販売店にしっかりと質問し、不明点を解消することが大切です。

5.3 車両の選択肢が限定される

自社ローンを利用する場合、販売店が指定する車両の中からしか車を選ぶことができないケースが多いです。新車や特定の車種を希望する場合、選択肢が限られる可能性があります。希望の車種がある場合は、事前に確認しておきましょう。

5.4 販売店とのトラブルリスク

自社ローンは販売店が直接お金を貸し付けるため、販売店とのトラブルが発生するリスクがあります。例えば、契約内容の説明が不十分であったり、不当な請求をされたりする可能性もゼロではありません。信頼できる販売店を選ぶことが重要です。

5.5 将来的な信用情報への影響

自社ローンは信用情報機関に登録されない場合がほとんどです。そのため、返済実績を積み重ねて信用情報を向上させることができません。また、万が一延滞した場合でも信用情報に傷はつきませんが、将来、住宅ローンやカードローンなどを利用する際に、自社ローンの利用履歴が審査に影響を与える可能性も否定できません。販売店によっては、自社ローン専用の信用情報機関を利用している場合もあります。

項目信販会社ローン自社ローン
審査基準明確不透明な場合が多い
情報量豊富少ない
車両の選択肢広い限定的
信用情報への影響登録される登録されない場合が多い

上記のように、自社ローンには様々なリスクが潜んでいます。これらのリスクを理解した上で、本当に自社ローンを利用する必要があるのか、よく検討することが大切です。安易に契約せず、他の選択肢も検討してみましょう。

6. まとめ

自社ローンは、信販会社を通さない独自の審査基準でローンを組めるため、クレジットカードや銀行ローンを利用できない方にとって、車や住宅を購入する一つの手段となります。しかし、この記事で解説したように、金利が高めに設定されている、所有権留保によって自由に売却できない、支払い延滞時の対応が厳しいなどのリスクが存在します。また、審査基準が不透明な場合や情報が少ないことによる不安も考慮すべき点です。自社ローンを利用する際は、これらのデメリットを十分に理解し、契約内容をしっかりと確認することが重要です。他のローン商品と比較検討し、自身にとって最適な選択をするように心がけましょう。

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